2015-07-30

『やさしい自然の聴き方〜入門編』の紹介文


『小渡アートミルフィーユ』が
7月31日(金)〜8月2日(日)の三日間開催されます。

僕はその中で「やさしい自然の聴き方〜入門編」という
音を聴くことの豊かさに触れるワークショップを担当します。
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『やさしい自然の聴き方〜入門編』
2015年8月1日(土)8:30-10:30   8月2日(日)6:30-8:30
場所:愛知県豊田市小渡(おど)町一帯
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ワークショップの詳細はこちらの特設ページをご覧ください。


さて、今回の企画の仕掛け人でもある批評家の亀田恵子さんが、
紹介文を書いてくださいました。全文をここに掲載します。

亀田さん、ありがとうございます!
自分のことを見続けてくれる人がいるというのは、ありがたいことですね。

「やさしい自然の聴き方〜入門編」(講師:橋本知久)のご紹介
亀田恵子

橋本知久さんに初めてお目にかかったのは2007年ですから、もう8年も前になります。彼の企画の広報をサポートさせて頂いたのがきっかけでした。当時、私がパーソナリティを担当していたコミュニティラジオにご出演いただいたのですが、私は橋本さんのお話に圧倒された記憶があります。


溢れるような新鮮な話題、手に取ったペンで「時間」という概念を図でサラサラと描いていく知的さ、そのどれもが私には驚きでした。それから5年後の2012年には、オランダの留学から帰国されたばかりの橋本さんからご連絡を頂き、彼のアイデアや今後のヴィジョンを伺いました。そのときの橋本さんは以前の知的さはそのままに、真摯にご自身と向き合い、さまざまなことを吸収していこうとされているようでした。5年という月日が、橋本知久というアーティストをいっそう大きく養ったのだと感じました。自らを「時間芸術家」と呼ぶ彼自身が、私には時代が育んだ作品のように思えました。

『小渡・アートミルフィーユ』は「時間(とき)」を楽しんで頂くことをコンセプトにした小さなアートプログラムです。現代社会は利便性と効率・生産性が飛躍的に向上し、私たちの日々の暮らしは時間や場所に縛られることが少なくなったと言われています。インターネットの通信環境も目まぐるしいほどの進化を遂げ、どこにいても繋がる時代となりました。確かに、こうした変化によって人々の暮らしは便利になりましたが、私たちは大切なものを失ってしまったように感じます。それは「そのとき、その瞬間の独自性」を味わいながら暮らすという豊かさです。朝には朝の、夕刻には夕刻の、そのときどきには独自の魅力があります。例えば早朝の爽やかさと何かがはじまろうとする期待感、まぶしいくらいの陽ざしに思わず目深にかぶった麦わら帽子が懐かしい昼下がり、薄闇の中で子供のころに聞かされた怪談話を思い出す夕刻(逢魔がとき)…今ではスマートフォンをのぞき込んでいる間にあっという間に過ぎてしまうような、ささやかな瞬間の連続です。でも、こうした瞬間=「今、ここ。」を実感することは「生きている」ことを実感することと等しいのではないでしょうか。

時間芸術家の橋本知久さんを「時間(とき)」を楽しむ『小渡・アートミルフィーユ』にお招きし、彼のオリジナルワーク『やさしい自然の聴き方』を開催出来ることは企画者として、大変うれしいことです。夏の早朝、矢作川のせせらぎや咲き誇る朝顔、町中に飾られた風鈴の音色の中で行われるオリジナルワーク・・・小渡の夏の朝にしかない、素晴らしい瞬間が橋本さんの音のツアーガイドによって体験出来ると思います。みなさまのご参加を心よりお待ち申し上げております。

亀田恵子(かめだ けいこ)プロフィール:2005年の「ダンス評論賞」での第1席受賞を機にアートやダンスについての評論活動をスタート。2006年から京都造形芸術大学にてヴィジュアル・シンキング・ストラテジー(VTS)を修得、鑑賞者と作品を繋ぐ活動を展開。2008年からは長野県松本市のヴィオパーク劇場にてアーティストが自由に作品発表を行える企画『ヒトリ主義Night』を開催。2009年から『京都国際ダンスワークショップ』のドキュメントチームに参加し、ワークショップレポート執筆、アフタートークのファシリテーションなどを行う。2012年から『農村舞台アートプロジェクト』(愛知県豊田市)の実行委員。2013年から舞踊批評家協会会員。2014年から『とよたデカスプロジェクト』(愛知県豊田市)参画。

亀田さんの活動Arts&Theater→Literacyはこちらから。
http://blog.so-net.ne.jp/arts_and_theater_literacy/

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